代表講師がみずからの受験体験を生かした上で学習法を分析し、最も効率的(短期間)に学習できるためには学習手順が重要だと考えています。
そこで当講座が提案する推奨学習番号順を提案させていただきます。
効率的学習順序
①【1章】証券市場の基礎知識
②【11章】株式会社法概論
③【13章】財務諸表と企業分析
④【6章】株式業務
⑤【7章】債券業務
⑥【8章】投資信託及び投資法人に関する業務
⑦【9章】付随業務
⑧【14章】証券税制
⑨【5章】取引所定款・諸規則
⑩【12章】経済・金融・財政の常識
⑪【4章】協会定款・諸規則推奨学習番号
⑫【10章】セールス業務
⑬【3章】金融商品の勧誘・販売に関する法律
⑭【2章】金融商品取引法
⑮【15章】信用取引(一種出題範囲)
⑯【16章】先物取引(一種出題範囲)
⑰【17章】オプション取引(一種出題範囲)
⑱【18章】デリバティブ取引その他(一種出題範囲)
各章ごとの概略と合格への戦略
【1章】証券市場の基礎知識
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序)第①番
〈概要〉
タイトル通り、外務員試験向けに勉強する上での土台となることが数多く出てきますから、多少時間を掛けてでも、できるだけ基本的な部分は吸収しましょう。ただし、試験勉強を始めたばかりの人は、目新しい単語がたくさん出てきて面食らうかもしれません。そんなときは、「一度目は7割覚えれば上等だ」くらいの気楽さで進めてもいいですよ。
〈合格への戦略〉
5肢選択といっても、知識問題が5個並んでいるようなものです。各項目で核となる単語の意味をしっかり理解して、引っ掛けにも注意して、できれば満点を狙いたいです。
【2章】金融商品取引法
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序)⑭番
〈概要〉
外務員試験は、内容的にはけっして難しい試験ではありません。なのにどうして合格率が半分も行かないのか・・・。その原因の1つは間違いなくこの第2章:「金融商品取引法」(略して「金商法」)にあります。とにかく内容が多い。そしてなにしろ「第2章」ですから、何も考えず第1章から順に勉強して行こうとする人は、証券・金融に関する知識に乏しいまま、この無味乾燥な言葉の洪水と丸腰で戦い、そして敗れ、溺れ・・・「もう、無理」ってなるんです。これ、「日本史」の勉強で言う所の「旧石器時代燃え尽き症候群」ってやつでして。肝心な所へ行く前に気張り過ぎてポキッと心が折れちゃうんです。しかも本章はなにしろ「法律」ですから、例の人間味のかけらもない言葉が金商法条文原文→『必携』→市販参考書→そしてあなたへと伝わっていく訳です。当然、チンプンカンプンです。(笑)ただし、試験本番もおそらくこれに近い表現で出題されますので、門前の小僧のごとく原文そのまま丸暗記して正解を得る可能性もありますが(市販参考書は、この目的でのみ機能します)。「本当に理解して、合格する」ことを目指す本書は、わかりにくい点を筆者が噛んで、砕いて整理して皆さんに伝え、それに応えて皆さんもちゃんと理解しながら読んでくれることを想定して書かれています。ただし・・・この第2章では、本気でそれを実行したら・・・みなさん半年かかります。(笑)という訳で、この第2章は、「妥協」を合言葉に学んでください。配点は30点と高目ではありますが、それを遥かに上回る学習内容の多さにより、非常に得点効率が悪い章なのです。他の章より、低い得点率でも構いません。試験の直前期に、「まーできるだけ詰め込んどくか」という気持ちで付き合ってください。皆さんに「手抜き」を推奨する訳ですので、筆者も意図的に「妥協」して書いています。いつもなら突き詰めて書く所を流したり、内容も試験で問われる可能性が低いと思われるものは容赦なくカットして、『必携』でB5サイズ文字ビッシリ220ページの内容を、二十数ページに凝縮してあります。(それでも市販参考書よりはずいぶん理解しやすくはなっているはずですが。)また、勉強する順序としては、全14章のラストにやることをお勧めします。金商法は、とても広い範囲を網羅したものですので、「あ。たしかあの章でも習ったな」ということが頻繁に起こり、今までの復習・総括として役立つことが期待できますので。〈注〉逆に、他の章を学ぶ前に、大まかに前提を知るために、という使い方は・・・、無理です。何を言ってるか具体的イメージが像を結ばず、何も頭に残らないでしょう。
〈合格への戦略〉
5肢選択の2題も計算問題ではなく、知識問題が5個並んでいるようなものです。よって、テストでの出来不出来の差はあまり大きくないでしょう。出来るだけ「知識を」吸収して、全体として「7割行ったらラッキー」くらいを目指せばOKです。とにかく気楽に♪
【3章】金融商品の勧誘・販売に関する法律
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序)⑬番
〈概要〉
金融商品を顧客に勧誘・販売する外務員が遵守すべき法律として、もっとも中核となるのは「金融商品取引法」(金商法→第2章)ですが、それ以外にも次の4つなどがあります。1.金融商品の販売等に関する法律(金融商品販売法)2.消費者契約法3.個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)4.犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)本章では、これら「4つの法律」を学びます。それぞれの法律について、その趣旨・概要、適用範囲、適用条件などを、例えば「説明義務」といったキーワードを中心に覚えていきましょう。なお、4.以外の3つは、いずれも投資者保護(投資者=顧客=消費者)を基本精神とすることを念頭におくと、すんなり吸収しやすくなります。(第2章:「金融商品取引法」も同様です。)
〈合格への戦略〉
配点は6点で、全14章の中で最も少ないですが、その割には覚えることが多いです。そして、得点差の開きやすい5肢選択問題がありませんので、それほど神経質にならず、「3題中2題取れたらいーな」くらいの気持ちで臨んでください。
【4章】協会定款・諸規則
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序)第⑪番
〈概要〉
全14章の中で、最大の配点=40点を占める章です。ボリュームはかなりありますが、配点との比較で考えると得点効率は悪くありません。当然、気合い入れて勉強したくなりますね。ただし、同じく最大配点=40点の第7章:「債券業務」では、かなりの確率で出題されて得点源となる「計算問題」(10点問題)が相当数あったのですが、本章では、そのような際立った重要事項というのが、あまりありません。基本的には、雑多な知識を詰め込んでいく作業になります。さらに「法律」「規則」に関する内容が多くを占め、そのかなりの部分は・・・、正直、「社会常識」があれば正答を導き出せる問題も多いのです。つまり、本章は、そんなに完璧を目指さなくとも、けっこう8割くらいの点は確保しやすい章なのです。ただし、その「8割」を「9割以上」に上げようとすると、途端に必要学習量が増えるという・・・少しくらい「???」な所があっても、スルーです(筆者も、あえて本章はあえてそのように書いてまーす)。ほどほどで手を打ちましょ!そして直前期に集中詰込です。ただし、似た性格を持つ第2章:「金融商品取引法」(配点30点)よりは、少ないボリュームで配点40点ですから、手の抜き方を、加減してくださいね。
〈合格への戦略〉
5肢選択の10点問題も、知識問題の組合せに過ぎず、ここだけは落とせない、というような山場も見当たりません。満遍なく学んでいきましょう。
【5章】取引所定款・諸規則
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序)第⑨番
〈概要〉
有価証券の売買を行う市場を開設している「取引所」における各種ルールを学びます。10点という配点に対して、覚えることが多く、正直に言うと得点効率が非常に悪い章です。(笑)ただし、「仕組み」を理解することで確実に得点できる内容Ⓐ理解問題もあり、しかもそれらは外務員としての実務においても役立ちます。そうした部分については、図表を使うなどして詳しく解説しましたので、しっかりマスターしてください。他方、単に知識を詰め込む部分については・・・何しろ得点効率悪いですから、ほどほどに。
〈合格への戦略〉
○×問題5題のうち、「理解」で取れる点を確実に押さえて、全体で7割を確保しましょう。
【6章】株式業務
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序)第④番
〈概要〉
配点は30点でかなり大きく、合格のためには特に重要な科目であるといえます。学習内容は、大きく次の2つの側面に分類されます。
1.株式投資における各種重要指標の計算法と意味を理解すること。→多くは10点問題
2.株式及びその売買方法などの種類を覚えること。主に暗記分野ではありますが、系統的・体系的に覚えられるよう工夫してあります。→多くは2点問題
重要度が高いのは、配点の大きなⓐ:「理解」の方ですが、そこを深く理解していなくともⓑ:「暗記」の内容は頭に入ってきます。よって、一般的な書物と同様、まずはⓑをサラサラと。そのあと本腰入れてⓐに取組むという流れで行きます。(次の第7章:「債券業務」では、諸事情によりⓐ、ⓑの順序を逆にするのですが。)
〈合格への戦略〉
5肢選択はⓐ理解問題型の計算問題である可能性が高いです。ここでしっかり20点をとることが、目標ライン:21点を上回るためには重要です。よって、ⓑ分野の学習は、根を詰めすぎないこと。腑に落ちないことがあっても、スルーして。けっしてそこで学習をストップさせず、前へ進んで、また振り返るように戻ってみてください。
【7章】債券業務
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序)第⑤番
〈概要〉
配点は全14章で最大の40点であり、合格のための最重要の章と言えます。学習内容は、大きく次の2つの側面に分類されます。
ⓐ債券投資の仕組み・利回り計算法を理解すること
ⓑ国債、社債などの債券の種類・特徴などを暗記すること
本書は、おおよそこの順に話を進め、試験での配点が高く、学習成果が表れやすいⓐ、およびそこで登場するⓐ理解問題をしっかりマスターしてもらい、「債券」というものの仕組みを理解した上で、ⓑを可能な範囲で頭に入れていくという順序で進めます。『必携』および一般的な試験対策書では、真逆の順序での学習を強いられるので、ほとんど苦行の様相を呈しております。(笑)
〈合格への戦略〉
5肢選択問題は3問中おそらく2問(以上)は計算問題です。ここでしっかり20点とれば、残りの20点の半分取れば目標達成です。半分ということは・・・○×問題を全てデタラメに答えても何とかなる訳で。(←ホントにそうしたらダメですよ!)細かい知識の暗記は「追々、出来る範囲で」でOKです。とにかく、債券のシステムを理解して、計算主体のⓐ理解問題をしっかり正解できるようにすることが最優先です。
【8章】投資信託及び投資法人に関する業務
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序)第⑥番
〈概要〉
配点は34点でかなり大きいですが、第6章:「株式業務」、第7章:「債券業務」と比べた場合、ⓐ理解問題・計算問題が少なく、あまり大きく得点差が付く章ではありません。基本的には「知識」を覚えることが、問題での得点に直結するのですが、「投資信託」は、「集団投資スキーム」という、株式・債券への直接投資より複雑な仕組みを用いますから、その前提を理解しておくことが、問題を解くためというより、知識の吸収のために重要です。そこで、やや変則的ではありますが、内容を次の順に配列しました。
1.最も代表的である「証券投資信託」の概要→ここで基本用語も頭に入れる。
2.投資信託の種類→1°をベースに、それと比較しながら各種投資信託の特徴を覚える。
3.証券投資信託の詳細
4.その他
1の「概要」を通して「システムの根幹・全体像」をよく理解しておくことで、後の内容がスムーズに吸収できるはずです。
〈合格への戦略〉
ⓐ理解問題の計算問題はごく少数の型しかなく、習得はけっこう容易です。たとえ出題されない可能性があるとしても、確実にマスターしておくべきです。一方のⓑ:知識暗記のタイプは量が多く、テキストの全内容を完全暗記するのは困難ですが、「システムの根幹・全体像」の理解をもとに、太字や下線が引かれた要点を押さえて7割をクリアーすることは難しくありません。
【9章】付随業務
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序)第⑦番
〈概要〉
金融商品取引業に「付随」する業務。つまり、“オマケ”ですから、内容少ないです!そして、出題のポイントが比較的はっきりしていて絞りやすい章です。これで「10点」いただけるなんて、得点効率が良くてとっても美味しいですね。確実に得点するために、文章に現れる単語の意味を確認しながら、ちゃんと理解してください。
〈合格への戦略〉
5肢選択ですが、知識問題が5個がセットになっているようなものです。とにかく「単語の意味」を間違えないよう、問題文を正確に読み取ってください。
【10章】セールス業務
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序)第⑫番
〈概要〉
非常にボリュームが少ない章です。そして、内容の大半は、「常識」で判断できてしまいます。なので、「軽く流す」ことでも対処可能ですが・・・たったこれだけで10点も稼げるという美味しい章だと言えます。確実にモノにするため、太字や下線のキーワード中心に、しっかり覚えましょう。
〈合格への戦略〉
5肢選択が1題だとして、それは基本的には知識問題の集積に過ぎませんが、○×式で2点×5題と比べて、当たり外れの差が激しいです。ミスは許されませんから、慎重に問題文を読むようにしましょう。
【11章】株式会社法概論
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序)第②番
〈概要〉
基本的にはタイプ[b]:知識暗記中心であり、配点の20点に対して学ぶことが多く、得点効率が良いとは言えない章です。しかし、「会社」というものの仕組みを知っておくことは今後の学習に役立ちますから、あまり手を抜き過ぎないでくださいね。本章で「知識」を頭に入れていくための鍵は、まず初めに「株式会社」の大まかな組織、仕組みを理解しておくことです。そこで本書では、支離滅裂な『必携』の並びを、なるべく大きな仕組み・基本概念→小さく雑多な知識の順に並べ直し、体系的に学習できるよう再構成しました。この流れに沿って学習して行けば、たとえ知識暗記主体の問題であっても、「理解」によって取れる範囲が格段に広がることでしょう。
〈合格への戦略〉
5肢選択の1題も計算問題ではなく、知識問題が5個並んでいるようなものです。よって、テストでの出来不出来の差はあまり大きくないでしょう。前述した組織、仕組みの理解という大きな“柱”さえあれば、たとえ個別の知識がうろ覚えだとしても7割はイケます!
【12章】経済・金融・財政の常識
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序)第⑩番
〈概要〉
タイトルからもわかるように、かなり幅広い内容を、限られた紙面で学びます。その割には、試験での配点は20点に過ぎません。よって、どうしても「学び」の深度は浅めにならざるを得ませんが、試験で問われる内容もそれほど深く掘り下げたものではないはずですから、対応は充分可能です。ただし、このような分野を学ぶ場合、「深入りし過ぎ」はもちろん非効率的ですが、ホントに「浅くなぞる」だけだと・・・、学んだ内容が頭の中で「像」を結ばず、きれいに消え去ってしまいます。(笑)
そこで本書では、具体例、記述、表、イラストなどを駆使して、最低限必要な情報をわかりやすく提供するよう心掛けましたので、それらを活用して、ぜひ「像」を作り上げてください。また、本章では、計算問題ではないですが「完全失業率」などの様々な指標の求め方が問われます。これは、ⓐ理解問題の一種と言え、定義・意味をしっかり理解していれば得点できるものです。確実にモノにしましょう。
〈合格への戦略〉
5肢選択のみ2題の予想ですが、計算問題や1つのテーマを理論的に考える問というより、ただ雑多な知識問題が5個並んでいる、つまり「〇×問題5個セット」という形態が多そうです。よって、前述したⓐ理解問題をしっかり押さえれば、7割は確保できるでしょう。
【13章】財務諸表と企業分析
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序)第③番
〈概要〉
企業は、利害関係をもつ株主、債権者、取引先などに対して経営状況を公開するために、財務諸表の作成を義務付けられています。次の3つがあります。
本章は、2つの財務諸表:「貸借対照表」、「損益計算書」が全てのベースになります。これらをしっかり理解することが、5以降の様々な指標に関するⓐ理解問題のマスターにつながるのはもちろんのこと、タイプⓑ:「暗記型」の知識を頭に入れるための大前提条件にもなります。
〈合格への戦略〉
5肢選択10点問題は、おそらくⓐ理解問題:計算問題です。ここはしっかり10点をとること。それを目指して学習すれば、知識分野ⓑは、分量的には多くありませんから自然に頭に入り、目標ラインはクリアーできるでしょう。
【14章】証券税制
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序)第⑧番
〈概要〉
「税制」というテーマを、とにかく多種多様な観点から考察することが求められ、全体構造が非常に見えづらくて困ります。『必携』においても、それを解消するための方策は何もとられていません。また、第0章:「二種外務員試験対策学習の前に」2(3)の表を見るとわかるように、『必携』頁数と比較した得点効率は、全14章中最悪です。よって、ある程度は手を抜こうということになるのは当然ですが・・・。
筆者は、本章の「全体構造」を、2「証券のグループ分け」と3「課税方法」という軸となる2つの観点から体系的に整理し直しました。ここを、少し時間をかけてでも深く理解しておけば、他の箇所の知識もスーッと頭に入ってくるはず。つまり、ⓑ:知識暗記詰込み型が、ⓐ:内容理解型へと変わり、学習効率が数倍に跳ね上がるようにしたつもりです。また、5肢選択問題で出る可能性のある計算問題:ⓐ理解問題は、ごく少数の型に限られるので覚えやすく、確実にモノにできます。以上を総合的に考えると、決して学習効率の悪い章ではないと言えるかと思います。
〈合格への戦略〉
ⓐ:内容理解に力点をおくこと。そうすれば、5肢選択の10点問題1題は、計算問題である可能性が高いので確実にモノにできます。そして残りの問題も、「理解」という土台があれば、たとえ個々の内容がうろ覚えでもかなり取れるはず。全体で7割、いや8割はイケるでしょう。
【15章】信用取引(一種出題範囲)
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序) 第⑮番
〈概要〉
信用取引は、投資家と証券会社の間の貸借関係を伴うため、第16 章以降で扱う「デリバティブ」も含めた外務員試験で扱う全ての金融商品の中でもっとも仕組みが複雑です。この「仕組み」がわかっていないと何も頭に残りません。例によって巷の参考書では、そうした事情はお構いなしに『必携』と同じ順序で初めから「知識」を詰め込む構成になっていますが、非常に学習効率が悪いと言えます。それに対して本書では、まず最初に大まかに信用取引のシステムを理解し、その後で詳細な知識を覚えていく形式をとっています。
〈注〉 ◦ 本章における『必携』の記述の多くの引用元となっているのが、東京証券取引所の「受託契約準則」です。これを、今後「東証準則」と呼びます。
◦ 本章では、株式のことを『必携』に合わせて「株券」と呼びます。
◦ 『必携』は,証券会社の外務員のために書かれた本なので,「証券会社・外務員」の立場に立った記述となっています.しかし,本書では,意味内容のわかりやすさを重視し、信用取引を行う主体である「顧客・投資家」の立場での記述も状況次第で採用しています。
◦ 「金融商品取引業者」とは、「証券会社」等のことを指すことを思い出しておいてくださいね。
〈合格への戦略〉
5肢選択問題2 題中1 題は、「委託保証金」などに関する計算問題: 理解! です。これを確実に押さえれば、残りの知識問題の得点率が5 割前後でも、ほぼ目標ラインに到達です。実際には、理解問題ができれば知識分野も“ 自ずと”底上げされますから、目標点クリアーはほぼ確実です。
【16章】先物取引(一種出題範囲)
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序) 第⑯番
〈概要〉
「先物取引」は、一種限定範囲だけあって内容はやや高度です。しかし、前章の「信用取引」と比べると、投資家と証券会社の間の貸借関係がないため、「先物取引」それ自体の仕組みは幾分わかりやすいです。
ただし、3「先物の価格形成」で先物と現物の価格を比べたり、4「先物取引の利用方法」で複数の先物を組合わせた投資戦略を練るところでは、しっかりと「理解」することが求められます。
例によって、まず最初に先物取引のシステムの概要を理解することを目指しましょう。それを土台にすれば、前記3 4の習得もスムーズになりますから。
〈合格への戦略〉
5肢選択問題は、「国債先物取引」などに関する計算問題: 理解! でしょう。ここを確実に得点することが必須です。
〈注〉『外務員必携・練習問題』における本章の配点目安は「14 点」と少ないですが、本章の内容理解が、配点の高い第18 章(52 点) の習得に大きく影響します。決して手を抜いてはいけませんよ!
【17章】オプション取引(一種出題範囲)
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序) 第⑰番
〈概要〉
「オプション取引」は、前章の「先物取引」からさらに派生したものと考えられます。その分内容がより高度になりますから、まずは前章をある程度理解してから本章に取り組んでください。
「オプション取引」も、仕組みの理解がベースにあって初めて様々な内容の習得が可能となります。
その理解のカギを握るのが、ズバリ「損益グラフ」です。筆者は数学屋さんですので、「グラフの描き方」を懇切丁寧に指導します。お任せください!
〈合格への戦略〉
知識系と理解! タイプがほぼ半々くらいの配点だろうと思われます。もちろん理解! は満点を狙いましょう。そうすれば、「知識系」も他の章に比べると「理解」によって記憶しやすくなる部分が多いので、かなりの高得点が狙えそうです。
【18章】デリバティブ取引その他(一種出題範囲)
推奨学習番号(効率的学習のための学習順序) 第⑱番
〈概要〉
前2 章では、「先物」・「オプション」についてそれぞれ単独で学んできましたが、本章の1 2では、「先物」・「オプション」を「市場デリバティブ」として包括的に扱った各種制度を学びます。その中にあって、「証拠金制度」については相当深い理解が求められ、試験での勝負所となります。
3以降では、デリバティブのうち「先物」・「オプション」以外の内容に関して一通り学びます。5「店頭デリバティブ」では様々な派生商品が登場します。内容を理解しながら、名称・仕組み・目的などを覚えていきましょう。
〈合格への戦略〉
本章には、デリバティブに関わる前2 章以外の内容が“ 詰め込まれて”います(落穂拾い)。そのため、どちらかというと「知識系」のウェイトが高いといえます。5肢選択の問題も、「証拠金の計算」など理解! 系の計算問題は半分程度で、おそらく残り半分は知識系でしょう。
しかし、デリバティブ(派生商品) という高度なものを扱うため、「知識」の吸収にもある程度の「理解」が要求され、逆に理解して覚えるので自然と記憶に残りやすい傾向にあります。「知識問題」も、「内容理解」によって得点して行く。これが有効な戦略です。